KPI達成に必要なPDCAとは?注意点やサイクルのコツを解説
KPIに関連するニュースや書籍でよく使われる言葉が「PDCA」です。
PDCAは、ビジネスシーンで業種を問わずに使われているため、耳にしたことがあるという方も多いでしょう。
しかし、PDCAの概要や使い方、なぜKPI達成にPDCAが必要なのかを理解できていないという方もいるはずです。
KPIが達成できずに悩んでいる管理職やマネージャーの方は、この記事を参考にしてみてください。
KPIに欠かせないPDCAの概要
まずは、KPIの達成に欠かせないPDCAの概要から触れていきます。
PDCAはKPIマネジメントに限らず、ビジネス用語として多種多様な場面で使われています。
PDCAにはどんな意味があって、なぜKPI達成に必要なのか詳しく解説していきましょう。
PDCAとは?
PDCAは、以下の4つのステップからなる管理手法です。
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- 計画(Plan)
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- 実行(Do)
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- 評価(Check)
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- 改善(Action)
PDCAは、ビジネスプロセスの改善を目的に使用され、計画ステップで目標を設定し、実行ステップでその目標を達成するためのアクションが実行されます。
評価ステップで実行されたアクションの結果が評価され、改善ステップでその結果に基づいて次の計画が立てられる流れです。
それぞれの項目の頭文字を集めて、PDCAと呼ばれるようになりました。
PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルとは、PDCAの4つのステップを繰り返し実行し、継続的にビジネスプロセスを改善するサイクルのことです。
PDCAサイクルを繰り返し実行すると、ビジネスプロセスが常に最適化され、結果的に企業の業務効率がアップします。
PDCAサイクルを提唱したのは、アメリカの統計学者である「ウィリアム・エドワーズ・デミング博士」です。
1950年代、日本科学技術連盟でPDCAサイクルを提唱したことがきっかけで、多くの日本企業に採用されているフレームワークになりました。
PDCAは、本来は製造業の業務プロセスを改善するために誕生したフレームワークです。
しかし、マネジメント力も磨けることが分かり、現在では多くの企業で採用されています。
PDCAサイクルの重要性
PDCAサイクルは、ビジネスプロセスを継続的に改善するために重要です。
このサイクルを繰り返し実行することで、常に問題点が明確化され、その問題点を解決するためのアクションが実行されるからです。
また、PDCAサイクルを繰り返し実行することで、企業内部のコミュニケーションが促進され、結果的に企業全体の意思疎通が容易になります。
明確化した問題を改善するためには、そのチーム内のメンバー同士での意見交換や、他部署との連携が必要だからです。
さらに、PDCAサイクルを繰り返すことで、変化し続ける市場や顧客のニーズに柔軟に対応できます。
昔からの手法や考えを固持していては、変化の大きい現代社会の需要に対応できなくなるでしょう。
KPIとPDCAの連携
PDCAの概要を解説したので、次はKPIとPDCAの連携について解説していきます。
まずはKPIの概要とKPIの目標設定例を解説し、最後にKPIとPDCAとの連携について触れていきましょう。
まだKPIの設定ができていない企業や部署は、KPIの目標設定例を参考にしてみてください。
KPIとは?
KPIとは、「Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインジケーター)」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIは、組織の目標達成に向けた業績管理評価のための重要な指標で、正しく設定することが組織の目標達成に不可欠です。
KPIを設定すると、個人個人が指標達成のためにやらなければいけないことが明確になります。その結果、業務が効率化されて、最短距離で指標の達成に向けた行動ができます。
また、KPIを設定すると進捗管理がしやすい点もメリットです。
その理由は、測定可能な指標を設定するので、現用把握が容易だからです。KPIの達成度が低い場合には、業務の見直しや改善が行えます。
常に最善の行動ができるようになるので、KPIは企業の目標達成に欠かせない指標となります。
KPIの設定例
KPIは、業種や職種によって設定すべき指標が大きく変わります。
たとえば、営業でのKPIの設定例をあげるならば、以下のような指標が適しているでしょう。
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- 新規顧客数
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- 商談数
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- 平均受注単価
上記は、どの指標も明確に数値化できるうえに、月間や上半期などの一定期間で統計がとりやすいからです。
それぞれの指標の数値をあらかじめ設定することで、日々の業務ですべきことが明確になります。
ECサイトを運営している企業のKPIを設定する際には、以下のような指標がよく使われます。
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- 訪問ユーザー数
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- 購入数
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- 顧客単価
訪問ユーザー数を指標にすると、KPI達成のためにアクセス数の増加が必要です。
そのアクセス数を増やすために、広告が必要なのか、商品数を増やすべきか、色々な施策が出てくるでしょう。
顧客単価を上げるためには、抱き合わせしやすいように関連商品の展開が必要かもしれません。商品単価を上げるのも効果的です。
製造業でKPIを設定する際は、以下のような指標が適しています。
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- ヒヤリハット件数
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- 生産数
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- 不良率
ヒヤリハットは、重大事故につながる重要な指標です。
製造業では危険を伴う作業に携わる従業員がいるので、ヒヤリハット件数を減らすことは企業活動においても重要事項になります。
また、売上を最終目標に掲げている企業では、生産数や不良率などの売上に関係する指標も効果的です。
KPIとPDCAの連携
KPIとPDCAの連携について、それぞれの項目別に解説していきます。
まず、計画(Plan)の段階で最初に企業の最終目標(KGI)を設定します。本年度の売上や純利益などの明確な数値目標がKGIに最適です。
次に、KPIを決めるために指標のリストアップを行います。
KGIと同様に、期限のある明確な数値目標を優先的にKPIに設定すると、業務効率が上がるでしょう。
計画が終わったら、実行(Do)に移ります。設定したKPI達成のために必要な業務を洗い出し、日々の業務に落とし込みます。
一定期間実行をしたら、評価(Check)に移りましょう。無駄な業務が無かったか、KPIの達成度が低かった場合は特筆すべき理由が無いか、数値化したデータを基に客観的な評価を行います。
評価が終わったら、最後に改善(Action)を実行します。それでも改善しきれないKPIがあった際は、課題として残して次のサイクルで見直しましょう。
このPDCAサイクルを回すことで、KPIや日々の業務の精度が上がり、より最終目標の達成が現実的になります。
PDCAサイクルの失敗事例と活用事例
実際にPDCAサイクルを活用しようと思っても、失敗してしまったり途中で諦めてしまったりすることが多々あります。
効果的にPDCAサイクルを回すためには、よくある失敗事例の把握とうまく活用するコツを知ることが必要です。
失敗しないPDCAサイクルを作るために、失敗事例と活用事例を紹介していきましょう。
PDCAサイクルの失敗事例
「PDCAサイクルを回してみたけれど、うまく機能しなかった」そんな経験をされた方もいるかもしれません。
特に中小企業では、評価(Check)の段階でつまずいてしまうケースが目立ちます。
日常業務が多忙で、情報分析や過去データとの照合が不十分だったことが主な原因です。
適切な評価ができなければ、然るべき改善点も見つかりません。
また、KPIが多すぎて個別のPDCAが回せないケースもあります。一般的なチームや企業では、KPIは3個から多くても5個程度が理想です。
KPIは設定して終わりではなく、その後にPDCAを回して精度を高める必要があります。
それぞれのKPIと中長期的に向き合うために、数を増やしすぎないよう注意しましょう。
PDCAサイクルの活用事例
PDCAサイクルを活用するためには、ルーティン化するのが理想です。
「時間ができたら」と考えていては、いつまで経ってもPDCAサイクルを始められないからです。
「火曜日の午後の2時間はPDCA業務」のように、決まった時間にPDCAサイクルを回す時間を決めましょう。
時間を決めることで、少しずつでもPDCAサイクルを活用できます。
新たな問題や課題が起きないうちに、PDCAサイクルを最後まで回せるのが理想です。
まとまった時間が作れない場合は、「今回は計画だけまとめよう」など、項目別に区切ることも大切です。
スモールPDCAとラージPDCA
PDCAには「スモールPDCA」と「ラージPDCA」の2種類があります。
スモールPDCAは、最下層のKPIに適用する小さなPDCAサイクルのことです。
現場で働く従業員や接客する従業員などが対象です。最下層のKPIの見直しは、日々の業務効率の改善へとつながります。
一方のラージPDCAは、上位層のKPIに適用するPDCAです。
上位層のKPIにPDCAを適用することで、最終的なKGI達成のための軌道修正を行い、必要であれば、最下層のKPIの変更もできます。
PDCAサイクルもKPIと同様に、ツリー構造を意識して階層ごとにPDCAを適用するのが理想です。
PDCAサイクルで重要なポイント
PDCAサイクルを回す際には、以下の5つの項目が特に重要です。
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- 計画を明確にする
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- 内容を記録する
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- 客観的に評価する
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- 改善案に優先順位をつける
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- 報告と次のサイクルの始動
それぞれの項目について、なぜ重要なのか詳しく掘り下げていきましょう。
計画を明確にする
PDCAサイクルを回す際には、最初に計画を明確にすることが重要です。
「成約数」のKPI達成度を上げたいのか「架電率」のKPIをクリアしたいのか、目的が違えばPDCAサイクル内で着目すべき点が変わるからです。
内容を記録する
PDCAサイクルを回す際には、必ず記録を残しましょう。
記録しておくことで、後から振り返ることができて改善点を見つけやすくなるからです。
次のPDCAサイクルを回す際に、前回の記録が必要になるケースも多々あります。
PDCAサイクルの記録は、お金で買えないその企業独自の財産です。
記録して大切に保管することを意識して、PDCAサイクルを回していきましょう。
客観的に評価する
PDCAサイクルでは、実行した内容が本当に適切であったかどうかを客観的に評価することも重要です。
その客観的な評価をするためには、蓄積されたデータや過去の事例などが必要となります。
データや過去の事例と比較して、現状の評価を行いましょう。
改善案に優先順位をつける
PDCAサイクルでは、改善案に優先順位をつけることが重要です。優先順位をつけることで、効果的な改善策を次々に実行できるからです。
限られた時間でPDCAサイクルを回していると、全ての改善案を実行できない可能性もあります。
そんな時こそ、優先度の高い項目から実行することで効果を実感できます。
報告と次のサイクルの始動
PDCAサイクルは繰り返し回すことで効果が発揮されます。
そのため、1回のサイクルが終了したら、その結果を報告し、次のサイクルに向けた課題を提議することが重要です。
PDCAサイクルは2回、3回と回すたびに内容がブラッシュアップされて、業務改善が加速します。
1回で終わりにせずに、次のサイクルへの足がかりを作っておきましょう。
KPIの達成にはPDCAサイクルが重要
KPIを達成するためにはPDCAサイクルを回すことが大切です。
PDCAサイクルを回すことで、現状を細かく把握して問題が明確になり、必要な改善策を取ることができます。
しかし、日常業務が忙しい企業ではPDCAサイクルを回すのは簡単ではありません。
そんな時に時間をかけずにPDCAサイクルを回すサポートをしてくれるのが、KPIマネジメントツールの「Quantee」です。
Quanteeは、自由な施策階層を設定できるので、幅広い業種のKPIマネジメントを可能にしました。
店舗や営業所別にデータを集計できるので、個別にPDCAを回すことも可能です。
改善案を考える際には、連携している大規模言語AIの「ChatGPT」でサポートが受けられます。
安定してPDCAを回し、KPIのマネジメントの精度をあげたいという方は、気軽にお問い合わせください。